育休後に退職するのはずるい?後悔する原因やいつ言うべきかを解説

育休後に退職するのはずるい?後悔する原因やいつ言うべきかを解説
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みなさんのなかには、育休中に職場復帰するのが難しいと感じている人もいるはずです。いざ子育てをしてみると、休暇を取得した当初では考えられない問題に直面して、仕事と家庭の両立は難しいと結論することもあるでしょう。

けれども、一部の人たちは「育休後に退職するなんてずるい」というネガティブな意見も持っています。実際のところ、育休明けに会社を辞めるのは許されないのでしょうか?

この記事では、「育休後に退職するのはずるいのか?」という疑問について考察しています。また、育休明けに退職して後悔する原因や辞めることを伝えるタイミングにも言及しているので、育休を取得している人たちは参考にしてみてください。

目次

育休後に退職するのはずるい?

さて、育休後に退職するのはずるいことなのでしょうか?

結論から言えば、職場復帰を前提に育休を取得しているのにもかかわらず戻ってこないのはずるいと思われても仕方がありません。産休と違って、育児休暇は、企業が子育ての忙しい時期をサポートすることで従業員に雇用を継続してもらうための制度です。

それにもかかわらず、休暇と手当だけを得て復職しないのモラル違反として非難される可能性が高いと言えます。とりわけ、あなたが戻ってくることを前提に人事を決定している場合、業務に支障をきたす影響もあるでしょう。その意味では、円満退社にはならないかもしれません。

しかし、あくまでも「ずるい」と思われるだけで育休明けに退職するのは何の問題もありません。実際、厚生労働省の『令和3年度雇用均等基本調査』によれば、2021年度に育休明けの退職率は、女性が6.9%、男性が2.5%と報告されています。少ないながらも、復職せずに辞めている人もいます。

年代女性男性
2021年度復職率退職率復職率退職率
93.16.997.52.5
厚生労働省の『令和3年度雇用均等基本調査』を元に作成

取得済みの手当を返す必要もないので、お金のことを気にして無理する必要もないのです。

育児休業開始時点で退職が予定されている場合を除き、育児休業期間中に退職した場合は、その支給単位期間以降、支給対象となりませんが、それまで受給した育児休業給付を返金する必要はありません。 

厚生労働省『Q&A~育児休業給付~』より引用(最終確認日:2023年10月2日)

育休後に退職して後悔する原因

しかしながら、育休後に退職を選択して後悔した人たちもいます。

ここでは、その原因を3つの観点から説明していきます。

原因1 再就職が難しくなった

第1に、育児休暇後に退職した人たちのなかには、再就職に困難を感じている人たちもいます。

特に、ブランクが長い場合、業界のトレンドや新しい技術の進化など第一線の情報に触れていないことから、浦島太郎状態になっているおそれがあります。即戦力を期待する企業からしても、教育コストの高い人材を中途で採用するのはリスクと感じるかもしれません。

その結果、書類選考が通らずに再就職に苦労するといった問題が起きるのです。無事に就職できたとしても、ブランク期間の埋め合わせに労力が要るので、苦労している人も多いようです。

・ブランクが7年で就職活動したのですが、7年でパソコン周りの変化もありましたし、仕事に慣れるまでが大変でした。子供が小学生になってから働き始めましたが、夏休みなどの長期休暇の子供の預け先も大変でした(40代:派遣社員)

しゅぶJOB総研『結婚・出産後の就職活動について、女性はどう感じているのか?「難しい」 92.6%|就活が難しい理由「両立できる仕事少ない」78.1%』より引用(最終確認日:2023年10月2日)

原因2 子育ての負担が集中した

第2に、退職して時間ができたことで、家庭内における子育ての負担が集中するという問題が起きる可能性があります。

パートナーにもよりますが、仕事を辞めたことで家庭での役割が拡大することが予想されます。なかには、子育てと家事に追われて、リフレッシュの時間を確保できずに辛いと感じる人もいるでしょう。実際、育児疲れでメンタルを危険に晒すおそれもあるので注意する必要があります。

働いていないんだから、家庭のことをやるのは当たり前だと思っている人もいるので、退職前にパートナーや家族と子育ての方針についてよく話し合っておいたほうがよいと言えます。せっかく、子どもとの時間を大切にしようと退職したのに、それがきっかけでパートナーと不仲になるのは悲しいことです。

原因3 経済的な不安が増大した

第3に、退職後に状況が変わって金銭的な不安が生まれたことで後悔した人たちもいます。

例えば、突如として旦那の会社が倒産したり、交通事故や病気などの緊急事態が起きて予想外の出費が増えたりすると、共働きでリスクヘッジしておけばよかったと悔やむかもしれないのです。

もちろん、いつ、どこで何が起きるのかはわからない以上、備えすぎると何もできなくなるという矛盾もあります。とはいえ、経済的ストレスは、日常生活の中での精神的な負担を増加させ、家族間のコミュニケーションや関係性にも悪影響を及ぼすことが懸念されます。

退職はいつ言うべきか?

なお、育休明けに退職する場合、どのタイミングで伝えるのがよいのでしょうか?

結論から言えば、職場を考慮するならば、企業側が復帰者の業務配置や役割の再調整を進める時期と予想される育休終了の2〜3ヶ月前には言ったほうがよいでしょう。早いに越したことはないわけです。

しかし、育休中に退職してしまうと、その期間分の手当が得られるなります。当然、経営者には、辞める意思のある人を雇用し続けるモチベーションはありませんから、あなたが辞めると希望した時点で手続きが進められてしまうおそれもあるわけです。

その意味では、育休が終わるギリギリまで引き伸ばしておくという発想もあります。民法では、退職日から2週間前に申し出ればよいと規定されています。

また、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職となります(民法第627条第1項)。

日本法令『会社はホントに辞められる?法的に解説』より引用(最終確認日:2023年10月2日)

とはいえ、育休を自分の都合だけで利用すれば、職場で真面目に働いている人としては「ずるい」と思うはずです。円満退社とお金のどちらを選択するのか、よく検討してから退職の時期を選択することを推奨します。

失業保険は適用されるのか?

また、育休明けに退職する場合、失業保険は適用されるのでしょうか?

失業手当は、失業者の生活安定と再就職支援のために支給されるもので、育休明けに転職する場合は条件を満たせば受給可能です。通常の受給期間は離職日の翌日から1年間ですが、妊娠・出産・育児などの理由で退職した場合、最長4年までの受給期間延長が認められます。

ただし、延長申請は早めに行うことが推奨され、申請にはハローワークの「受給期間延長申請書」や「雇用保険被保険者離職票」、母子手帳などの書類と印鑑が必要です。承認後、受給期間延長通知書が送られてきます。詳細はハローワークに確認してみましょう。

ずるいと言われるのも仕方がない

職場の人たちからすれば、復職を前提とする育休明けに退職するのは筋が通らないと言わざるを得ません。特に、休んだ分の仕事を引き受けた側からすれば、「もっと早く辞めてくれていたら、代わりの人が入ってくれていたのに……」という気持ちになるでしょう。

その意味では、「ずるい」と言われるのも仕方がないです。ただ、今の自分にとって本当に大切なことを優先するときは何かを捨てないといけないときもあります。子育ては想像している以上に大変ですから、想定外のことも起きるでしょう。まずはパートナーと協力して、育休明けの方針を話し合いましょう。

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