みなさんのなかには、上司に心身の問題で「休職したい」と相談した際に、「休職するなら退職しろ」と言われて困った経験のある人たちもいるはずです。実際、仕事の負担が原因で体調を崩した場合、職場の人たちから心のない言葉を言われたら傷つきますよね。
場合によっては、休職したいのに「退職しろ」と言われたことで休めなくなってしまった人たちもいるのではないでしょうか。果たして、このような時は、どのように対応するのが正解なのでしょうか?
この記事では、休職するなら退職しろと言われたときの対処法を紹介しています。また、休職から退職する場合のベストなタイミングについても考察しているので、休職しようと考えている人たちは参考にしてみてください。
休職するなら退職しろと言われたときの対処法3選
正当な理由で休職を申請したのにもかかわらず、「休むくらいなら退職しろ」と言われたときには、どうすればよいのでしょうか?
ここでは、大きく3つの視点から対処法を紹介していきます。
方法1 休職後に転職する
第1に、正当な理由があるのに「休職するなら退職しろ」と発言する上司がいる会社よりも、ホワイトな環境で働ける企業に転職したほうがよいかもしれません。
休職は法律及び会社規則で認められている権利です。それにもかかわらず、「退職しろ」なんて言うのは、あなたを大切にしていない証拠です。もちろん、休職によって損失を被る立場からすれば、多少なりともネガティブな評価を下すのはわからなくもありません。
しかし、それを言葉として口に出すのは社会人としてまともな感覚があると言えないでしょう。休職するような状態に追い詰められた立場の人間を冷たく扱うような会社で頑張っても、充実した未来があるのでしょうか。
もちろん、転職は簡単ではありませんが、休職期間中にスキルアップするなど、やり方はいくらでもありますから、これを機会に今よりも働きやすい職場を見つけるのも選択肢のひとつです。
方法2 偉い人に相談する
第2に、上司よりも偉い人に相談してみましょう。
はっきり言えば、「休職するなら退職しろ」と言う上司を説得しようと試みても、時間の無駄になってしまうおそれがあります。それなら、いっそのこと、上司よりも上の立場にいる人に休む理由を丁寧に説明したうえで、休職を認めてもらったほうがよいという考えもあります。
もちろん、上司からすれば自分を差し置いて偉い人に相談されるのは嫌かもしれません。場合によっては、復帰しづらくなるリスクもあるでしょう。けれども、今の上司が将来も直属になるとは限りません。むしろ、偉い人が上司のマネジメントスキルに問題を感じたら、今の立場を退く可能性もあります。
将来的にまだ働く余地があるならば、わかってもらえない人に努力して認めてもらうことも大事ですが、理解のある人を味方につけることも大切なのです。
方法3 専門家に相談する
第3に、弁護士や労働基準監督官などの専門家に相談するのも手段のひとつです。
このようなプロフェッショナルたちは労働法や企業の規定に関する深い知識を持っているため、あなたの状況に最適なアドバイスを提供してくれる可能性があります。具体的な状況を説明したうえで、休職するのに必要な手筈を整えてもらいましょう。
いきなり金銭を支払って依頼するよりも、まずは「法テラス」や「相談窓口」という無料で助言が得られる仕組みもあるので利用してみてください。
上司から人格を否定するような言葉を浴びせられている場合は、できる限り証拠を残しておくようにしましょう。会社に対して訴訟を起こす時に役立ちます。
休職から退職するときのベストなタイミングは?
なお、休職から退職するときのベストなタイミングはいつなのでしょうか?
結論から言えば、医師から体調が回復していると診断されたタイミングをおすすめします。その理由は、退職よりもまずは健康状態を万全に整えることを優先すべきだからです。
一部の例外を除いて、労働者はいつでも退職を申し出ることが可能です。法的には、申し出から2週間が経過すれば辞められます。これに関しては、
期間の定めのない雇用、つまり正社員として雇われている一般的な正社員の場合、労働者はいつでも退職を申し出ることができます。
日本法令公式HP『弁護士が教える辞められない人のための退職願セット』より引用(最終確認日:2023年9月21日)
また、会社の承認がなくても、民法(明治29年法律第89号)の規定により退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは、退職となります(民法第627条第1項)。
ただし、期間の定めのある雇用、契約社員などの場合は別です。
雇用契約を結んでから1年以内は、やむを得ない事情がないかぎり退職できません。
上司から「休職するなら退職しろ」と言われたとしても、あなたを辞めさせる権限はありませんから無視すればよいのです。悪質な場合は弁護士に相談するのも選択肢のひとつです。
また、退職後に働く場合は転職活動の見通しが立ってから辞めたほうがリスクは低いと言えるでしょう。いつでも退職できるのですから、焦らずに心身の回復に努めてください。
休職は権利として認められる
法律や社内規則から見て妥当な理由がある場合、休職は労働者の権利として認められます。それにもかかわらず、「退職しろ」と威圧するのは言語道断です。
ただでさえ、心身が疲弊しているのにプレッシャーをかけてくるような上司は悪質です。その意味では、転職を視野に入れておくのは重要です。
しかし、だからと言って、体調を整えることよりも優先すべきではありません。今最も大切なことは再び健やかに働いて幸せになるために心身を休めることです。それ以上に大事なことはありません。
優先順位を間違ってしまうと、長期間にわたって苦しむことになりかねません。嫌味を言ってくる人に振り回されずに自分のために行動してください。
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