みなさんのなかには、休職中に転職活動を始めている人もいるかもしれません。現在、勤めている職場がブラックすぎて心身を壊したのならば、「仕事を変えよう」と考えるの自然なことです。実際、働きながら転職活動するのは大変なので、まとまった休みを使って準備するのは賢い選択ですよね。
とはいえ、いざ休職期間という特殊な状況で内定が出てしまったら、どうすればよいのでしょうか?
この記事では、「休職中に転職が決まったらどうする?」という疑問について考察しています。また、休職していた事実によって内定取り消しになるリスクもまとめているので、新しい仕事を探そうと思っている人たちは参考にしてみてください。
休職中に転職が決まったらどうする?
さて、休職中に転職が決まったら、具体的にどうすればよいのでしょうか?
通常時と同様、企業から内定をもらった場合は次に挙げることをしなければいけません。
休職中に転職が決まった後にすべきこと
- その1 転職先の内定を承諾し、勤務開始日を設定する。
- その2 直属の上司に退職の意思表示及び退職日を伝える。
- その3 上司或いは人事部に退職願を提出する。
- その4 引き継ぎや荷物の回収などの残務を処理する。
- その5 お世話になった人への挨拶を済まして退職する。
もちろん、休職は復帰を前提とする制度です。その意味では、転職したことを伝えると、職場の人たちから白い目で見られるおそれはあります。逆に、会社は従業員を簡単に解雇できないことから、あなたに辞めてもらうための良い口実ができたと歓待してくれる可能性もあります。
こればかりは、あなたが勤務している会社のスタンスによって異なります。いずれにしても、転職が決まった以上は新しい職場に迷惑をかけないように、粛々と退職の準備を進めることが肝心です。
休職中の転職するのは違法なのか?
なお、休職中の転職は今現在、働いている会社を裏切る行為とも言えます。心身を回復させるために休職しているのにもかかわらず、新しい職場を探しているわけですから、よく思われない可能性は高いと言わざるを得ません。とはいえ、「それが違法なのか?」と言えば、どうなのでしょうか?
結論から言えば、休職中の転職活動は違法行為ではないと考えられます。これに関しては、浅野総合法律事務所が運営する「労働問題弁護士ガイド」では、次のように回答しています。
結論として、休職中の転職活動もまったく問題ありませんが、デメリットやリスクに注意が必要があります。
労働問題弁護士ガイド『うつ病で休職すると再就職で不利?辞めるよう仕向けられた時の対応』より引用(最終確認日:2023年9月25日)
ただし、現在の雇用契約や就業規則で転職活動に関する制限や禁止事項の有無を確認することが必要です。とはいえ、日本国憲法第22条第1項で職業選択の自由が定められていることを踏まえると、企業が休職中の転職を制限できるわけではないと考えてよいでしょう。
休職中の転職で内定取り消しになるリスク3選
しかしながら、休職中の転職が成功したとしても、内定が取り消しになるリスクもあるので注意しなければいけません。最悪の場合、職を失うことにもなりかねませんので、事前に把握しておきましょう。ここでは、内定取り消しになる3つの危険性を紹介します。
リスク1 源泉徴収票から休職がバレる
第1に、新しい職場に休職している事実を伝えていなかったとしても、源泉徴収票に記載されている給与の支給額からバレるおそれがあるので注意してください。
もちろん、源泉徴収票には、休職していた事実は記載されていません。けれども、転職時に申告していた年収と給与の支払い金額に相違がある場合、「休職していたのではないか?」と疑われてしまう可能性があるのです。1ヶ月程度ならまだしも、3ヶ月分の給与が払われていないと違和感が生まれるでしょう。
そもそも転職先が源泉徴収票の提出を求めるのは「年末調整」のためです。その意味では、自分で確定申告を行えば、源泉徴収票の提出は必要ないと考えられます。内定が出た後でも、あなたの責任になるように何かしらの理由をつけて取り消しする企業もあるので注意してください。
リスク2 休職の事実を隠す
第2に、休職の有無をチェックされたときに嘘をつくと、後から事実が発覚したときに内定が取り消されるおそれがあるので注意してください。
例えば、面接時に「休職したことはありますか?」と聞かれたときに「ない」と嘘をつけば、詐称になってしまいます。後から履歴書や面接の内容を偽っていたことがわかれば、信用できない人物として内定を取り消されるのは当然です。
ただし、聞かれていないことに答える必要はありません。嘘をつくのはいけませんが、自分から休職していたことを説明しないといけないわけではないのです。
リスク3 SNSをチェックされた
第3に、転職先の人事担当があなたのSNSをチェックしたことで内定が取り消されるおそれがあります。
特に、あなたが休職期間で遊び呆けていたり、現職の悪口を書き込んでいたりするなど、転職先が雇用するリスクを感じるような投稿をアップロードしている場合、先方は雇うリスクを感じざるを得ません。
「匿名でやっているからアカウントがバレるわけない」と言われるかもしれませんが、近年では、専門の業者も存在するなど、手の込んだサービスもあります。そのため、転職時はソーシャルメディアの利用を控えるなど対策をしておきましょう。
休職明けに本格化するのが一番よい
休職期間はまとまった時間があるので、転職を進めるにはちょうど良いと言えます。しかしながら、休職した事実が不利に働くおそれもあるので、焦らずにしっかりと準備したほうが安心して転職できると考えられます。
特に、嘘をついてしまうと後からバレる恐怖に怯えることになるのでおすすめできません。むしろ、休職期間は心身の回復を最優先したうえで、転職に向けた自己分析やエージェントサービスの比較検討など、面接を受ける前までの準備に注力したほうがよいでしょう。
とはいえ、もう既に転職が決まったのであれば、気持ちを切り替えて退職の手続きを迅速に進めて、動き出すしかありません。実際、休職で居場所を失っている場合、なりふりかまってられないのも本音だと思います。けれども、焦ると空転しますから落ち着いて自分のできることを積み重ねていきましょう。
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